登山を愛好する皆様が、より安全に登山を楽しんでもらうために装備やマナーなどの注意事項をまとめました。登山初心者の方もベテランの方も必ずご確認ください。
装備について
地図
「ガイドがいるし、買いに行く時間もないし、地図はなくてもいいや。」と言って、地図を持たずに山に行くことはやめましょう。山では、どのようなアクシデントに遭うかわかりません。いざという時のためにも必ず地図を持参しましょう。
また、読図を習慣にすることで、道迷いを防ぐことができます。さらに地図が読めることで、山のイメージが膨らみ、登山がとても楽しくなります。
※地図は著作権の関係上お配りすることができませんので、各自ご用意ください。
※GPSは大変便利ですがそれだけに頼る登山はやめましょう。
雨具
お客様「今日は天気が良いので、雨具をバス(宿)に置いていっていいですか?」
ガイド「ぜぇ~ったいにダメです!!」
天気の良い日の登山ツアーでは、こんな会話をすることがよくあります。
なぜ雨具を置いていってはいけないのか? それは、どんな小さな山でも天候の急変は予測できないからです。そして雨具ひとつで生命にかかわることが充分に考えられるからです。
だからお願いです。ツアー登山に限らず、雨具は必ずザックに入れて山に登ってください。
レスキューシート(エマージェンシーシート)
緊急時、身体に巻き付けて使用すると保温効果絶大です。1,000円以下のものもありますので、必ず携行しましょう。(シェルターにもなるツェルトの方がよい。両方持っていくのが望ましい)
アイゼン
「6本爪アイゼンをご持参下さい。」とお願いすることがよくあります。なぜかと言うと、登山道の状況はその年や時期によって変わり、昨年は必要なく登れていた山でも、今年は雪解けが遅くて必要な場合もあります。
また、春先では低山でも雪が残っていることがあります。雪が無くても、道が凍っていることもあります。
そんな危険を軽減してくれるのがアイゼンです。より安全に山を楽しむためにもアイゼンのご持参を必ずお願いします。
ヘッドランプ
ヘッドランプはどんなに低山であっても持参するのが常識ですよね。最近はとても軽くて明るいヘッドランプが売られています。使い勝手の良いヘッドランプを購入しましょう。
また、いざという時に電池や電球が切れていては意味がありません。予備電池も(LEDではなく電球タイプの場合は予備電球も)ぜひ持参して下さい。
山に行く前には、自宅で明かりが点くかを確認する習慣があるといいですね。
かつて、11月に行われた「開聞岳&霧島連山縦走」にて、こわ~い実例がありました。
この時期は日暮れが早いため、初日の開聞岳下山時にヘッドランプが必要になる可能性が高かったので、リーダーのMさんは「ヘッドランプは持っていますよね?」と参加者の皆さんに確認しました。20名の参加者全員、異を唱える人もなく、申し出もなかったため、登山口にそのまま向かい、登山を開始しました。
そして全員、無事登頂。沈む太陽を見ながら急いで下山開始。間もなく暗くなり、ヘッドランプを装着することに。すると4名が持っていないことが判明しました。リーダーMさんとサブリーダーYさんは予備を持っていたので、2名に予備を貸し、残りの2人はサブリーダーYさんが照らす明かりの直前を歩くようにしてなんとか下山。本当に怖い思いをしたと言っていました。
ヘッドランプの有無は、雨具同様、本当に命にかかわることにもつながりかねません。必ず携行しましょう!
ヘルメット
頭部を保護する重要な道具です。ヘルメットが必要なコースに関しては、必須または推奨と表記がありますので、ご確認下さい。
マナー・注意事項など
団体行動について
ツアー登山は団体行動で、初対面の参加者同士がパートナーとなることがあります。自分勝手な行動や場の雰囲気を損なう言動などは慎み、協力し合って楽しい良い登山になるようご協力ください。
ツアー中はいつ何が起きるかわかりません。不測の事態に思わぬ仲間に助けられることもよくある事例です。参加者同士、仲良く・良い雰囲気のなか、安全で楽しい登山で行程が終了しますようにご協力をお願いいたします。
ストック、ストックキャップ
登山道へのダメージを軽減するため、ストックの先にはゴム製キャップの装着をお願いいたします。
※キャップは Amazon などでも数百円から購入可能です
また、自分ではやっていないつもりでも、「前の人のストックの先が顔の前にきて怖かった」という意見があります。ご注意ください。
なお、ストックに全体重をかける歩き方は危険ですのでやめましょう。
鈴
団体で歩く場合、鈴の使用はご遠慮下さい。
睡眠薬系の薬品
高山では思った以上に翌日に残り、転倒などの原因になることがありますので、使用はご遠慮下さい。
アルコール
一日の登山が終了するまでは、飲酒は厳禁です。
登山靴
現地の自然、植物の保護のため、靴の履き替えをお願いしています。登山靴の使用は現地入りしてからにして下さい。
夏山・冬山の装備
夏山装備のポイント
夏山といえど装備が十分でなければ、標高の高い山では雨風などにより低体温症になってしまうリスクがあります。
そのほかにも、すぐに下界へ降りれない縦走路等でのソール剥がれや装備の不備・故障には十分に気をつけなければなりません。
日ごろから装備をチェックし、万全の状態で登山をしましょう。
また荷物の軽量化は、皆様の行動を非常に楽にしてくれます。
登山用品店等でご相談の上、道具選びも慎重に行ってください。
冬山装備のポイント
冬山は、夏に比べたくさんの装備が必要になります。
そしてその使い方も大変重要となります。
低体温症はもちろん、凍傷にも、そして凍結路での滑落や雪崩対策にも気をつけなければなりません。
標高の低い山から、着実にレベルアップをすることが必須です。
冬山というとハードルの高い山行にはなりますが、夏山では見られない素晴らしい景色と達成感が待っています。
ぜひ少しずつチャレンジしてみてください!
持ち物チェックリスト
- ザック(目安 日帰り:25~30L、宿泊コース30~40L、避難小屋・テント泊50L以上)
- 登山靴(足首まで保護できるもの)
- 水
- 雨具(上下セパレートの登山用のもの。折り畳み傘もあると便利)
- ヘッドランプ(予備電池も)
- 個人用医薬品
- 健康保険証
- 山岳保険証券のコピー
- ホイッスル
- レスキューシート(エマージェンシーシート)
- 地図・コンパス
- トイレットペーパー
- ビニール袋
- 替下着・靴下
- 長袖シャツ・ズボン
- 防寒着
- 手袋(登山用のもの)
- タオル
- 帽子(頭部保護のため)
- ストック(キャップ付)(任意)
- スパッツ(任意)
- 昼食(弁当)
- 行動食・非常食(疲れたときでも食べられるもの)
- 軽アイゼン(ツアーによっては必要となります)
緊急時用の持ち物は(使わずに済むにこした事はありませんが)いざという時にあるとないとでは、生死を分けることも。どんな小さな山でも登山中は携行しましょう。